ゲイ……カミングアウトするべきか


自らが男であるにも関わらず、男を好きということを隠している人というのは、確かにいらっしゃると思います。実際、なかなか人に言えるものではないですよね。
日本では、同性での結婚もできませんし、世間的には全く認められていないアンダーグラウンドな世界なのですから。

そんなゲイだけど、隠し通して生き続けるのはとても疲れます。誰かに自分の重大な何かを隠し通すというのは、それだけでエネルギーを使いますし、とても申し訳ない気持ちにもなります。特に、親に秘密にする場合は、その心労というのは測り知れません。一番身近な存在であるはずの親に自分のセクシャルについて隠し事をするというのは、とても申し訳ない気持ちになりますし、精神衛生上よくありません。

ですが、カミングアウトすべきかどうかはわからないという繊細な問題であることは確かです。カミングアウトすることに利点もありますし、カミングアウトしたことで親に勘当され、縁を切られたという人もいます。カミングアウトをするということは、しがらみから解放されるという意味も含みますが、それだけリスクも大きくなってしまいます。

カミングアウトした人のお兄さんの体験談

弟が「自分はゲイだ」とカミングアウトしました。その瞬間、親が凍りつきました、もちろん僕も凍りつきました。そんな僕らを見て弟は「男が好きだ」と言い放ちました。その一言で、やっと僕らは何が起こったのかを理解しました。理解した親が最初に言った一言が「冗談じゃないのか?」でした。やはり、自分の息子がゲイであるということを認めたくないのでしょう。

息子は女の人と結婚して、円満な家庭を築いて、いつか自分たちに親孝行をしてくれるものだと思っているから余計に認められなかったのです。「冗談でこんなこと言わない」弟の一言が親の怒りを呼び起こしました。怒り、というよりは悲しい怒りだったのでしょう。泣きながら弟に訴えかけていました、自分の夢を。

「お前は俺ら夫婦の夢をぶち壊しにしたんだぞ! その意味がわかるか、責任がわかるか。息子夫婦と孫に囲まれて老後を暮らすという俺たちの育児の楽しみを、生活のハリをお前は根こそぎ奪っていったんだ」とうようなことを叫んでいたように記憶しています。親の叫びはごもっともだ、怒りは当然だと思いながら、兄貴として弟をかばいました。

「まあまあ、とりあえず一旦落ち着いて。みんな頭を冷やして冷静になってから家族会議でもしよう、三日後だ」と、無理やりその場を収め、弟を部屋に連れて行きました。その後弟と話をしたのですが、どうやら本気なようで、自分でも女の子を好きになろうと頑張った時期があったらしいのですが、どうにもならなかったようでした。

僕自身も親と同じであまり認めたくない立場の人間なのですが、弟がそれでいいのなら、応援しようと思いました。三日後の家族会議で決まったのは、「家との縁を切る」ということでした。家から離れ、一人暮らしをして、自分の力だけで生きていくことを弟は誓いました。僕も、みんなのためにはそれが一番だと思いましたし、弟のためにもそれが一番だと思いましたから、賛成でした。弟も、家族というしがらみから解き放たれ、責任から解放された方が楽に暮らせるものでしょう。親たちも、それで納得しました。

数週間後、部屋を見つけて家を出ていきました。今は元気にやっているのでしょうか。

カミングアウトすることのデメリット

カミングアウトすると、この家族のように、まず「何を言っているのかわからない」状態になり、その後でお怒りを食らうでしょう。そしてどこか気まずくなり、家に居づらくなるでしょう。家を出ていくという結果に円満に解決できたこのパターンはまだ良いですが、そういうわけにもいかず、家族との付き合いを続けていかな
ければいけない場合は本当に辛いです。

親の悲しそうな怒り顔を見るのも辛いですし、それによってぎくしゃくしてしまうのもどこか悲しいです。ましてや、親の夢を潰してしまうというのがとても大きな責任となり、自分の心にトゲとなって刺さります。心臓が内出血でもしたかのような痛みに耐えられないという人は、家出をするでしょう。そこでやっと、正真正銘解放されるのかもしれません。

メリット

辛いことを挙げ連ねましたし、この体験談自体が辛い思い出を語っているようなものなので、ゲイだとカミングアウトすることの辛さは測りしれません。しかし、それと同時に「解放」されるのも確かです。今まで隠し通してきたことで無意識のうちに圧力のかかってきていた生活に、心に、また以前と同じような開放感がやってくるのです。だから世の中のゲイは、リスクを承知で、辛いのも承知で、カミングアウトするのです。

どちらがいいか

これは一概にどちらがいいかとは言えません。カミングアウトする勇気があるのなら、覚悟があるのなら、して解放された方が良いでしょう。それがないのなら、隠し通したほうがまだ楽かもしれません。これは、本当にあなたの覚悟次第です。

リスクを背負う覚悟があるのなら、親たちと縁を切っても良い覚悟があるのなら、カミングアウトすると良いでしょう。